09年11月28日(土曜日) 中日新聞

利用者日本一の高負担に

中部空港保安料検討・航空会社の反発必至

「旅客保安サービス料」の新設を検討していることが明らかになった中部国際空港。導入後は国際線の旅客にとって、成田空港や関西国際空港を抜いて、国内で負担が最も大きな国際空港となる。安全を保つ上で不可欠の費用だが、不景気による旅客離れに苦しむ航空会社や旅行会社の反発も予想される。

米中枢同時テロや、2006年に英ヒースロー空港で起きた爆破未遂事件の経験から、警備強化は世界の空港にとって最重要課題の一つとなっている。中部空港も国際線では2005年の開港時から、世界で最も要求の高い米国の空港の基準を満たす爆発物などの検査システムを導入。だが旅客数低迷による減収で、高負担の同システムを維持するのは困難となりつつある。このため空港会社は航空会社などに「空の安全」を確保するためには新たな負担を求めざるを得ないと主張しているもようだ。

だが、中部がすでに課している「旅客サービス施設料」は一人当たり2500円。これに500円の保安サービス料が加われば、旅客の負担は計3000円となる。保安サービス料を今月導入した成田の計2540円やサービス施設料だけの関西の2650円を上回る計算だ。

このためある航空会社幹部は「搭乗率の低下を招き、撤退路線がさらに増える悪循環に陥るのでは」と指摘。日本旅行業協会も「負担増というネガティブなイメージが膨らむ」と拒否反応を示す。

今回、中部は国内線旅客からも保安サービス料の徴収を検討しているが、国際線並みの検査システム導入までは考えていないという。このため航空会社の中には「減り続ける旅客収入の穴埋めに充てるだけ」と、冷ややかな声もある。
「安全」と「負担」のバランスをどう取るのか。保安サービス料の使途などについて、空港会社は、旅客を納得させる明確な説明が求められているといえそうだ。